自然農法と在来種・固定種へのこだわり

プロフィール
 10年以上耕作放棄地だった当園の各農地はオーガニックに最適な圃場になりました。自然界がもたらす偉大な力を存分に農作物に活かす方法は何か?たどり着いた答えが「自然農法」でした。化学物質を使った農薬や肥料を一切使わないだけでなく、固定種や日本の在来種にもこだわり、気候風土に適した作物だけを栽培する。
 屋号の由来は、「自然に、あるがまま、わがままに育った果菜達」という趣旨から名付けています。自由気ままに、自然に無理なくがモットーです。

こだわり!
土づくりは微生物や虫を大切にすることから

 土って何でできているかご存知ですか?実は、土の大半が微生物の死骸からできています。人間の腸内細菌と畑は同じで、良い菌の死骸を善玉菌が餌にすることで善玉菌が増えて腸内バランスも土壌もよくなります。植物の根にも茎にも葉にも微生物が住んでいます。良い土壌づくりは微生物のバランスづくり。これが私の農業へのこだわりです。

こだわり!
野菜本来の生命力を存分に高めてあげる

 雑草を侮るなかれ!雑草が土壌のバランスを取ってくれるお陰で、大抵の作物は連作障害を起こしません。自然のまま、ありのまま、自然界で連作障害ってあり得ないですよね。これをどの様に手助けしてあげるか。野菜本来の生命力を存分に高めてあげることにこだわっています。

耕作放棄地再生後は不耕起を目指す
肥沃な土壌は土が露出していない

 自然農法のお手本は自然界に存在します。自然農法の畑はバクテリアや昆虫達の宝庫で、作物を食い荒らす虫もいれば、その虫の天敵もやってくる。こうした虫達が好む環境はジメジメしていて土に直射日光が当たらない草木が生茂った場所です。こうした昆虫やバクテリアが土壌を耕してくれるため、不耕起で十分に作物栽培が可能になる。それだけではなく、連作障害だって起きなくなる。理想的な自然農法の土壌環境とは、自然界に任せることなんだろうと思います。
 10年以上も耕作放棄した畑の土壌はとってもフッカフカで、どんな機械で耕した畑よりも多くの空気を取り込み、虫の多様性にも満ち溢れていました。そのまま使いたかったのは山々ながら、私の背丈よりも大きく成長した篠と藪枯らしのツタで覆われた畑では何も耕作できませんので、一度だけ全部の草刈りをせざるを得ません。その後は、出来る限りの草木を残し、草木の合間を借りる形で作物を育てて行きたいと考えています。言ってみれば、自然界が戻してくれた肥沃な土壌の一角を農業として間借りして耕作する様なイメージですね。

持続可能な農業を目指して
本当の持続可能性とは何かを追い求めて

 例えば、現在一般的に行われている農業では、石油の輸入が途絶えたら肥料も農薬も作ることはできなくなります。土作りを畑の外から持ってくる肥料に頼る中で、日本はリンの多くを輸入に頼っています。こうした何かに依存しなければできない農業に対して違和感を抱く機会が増え、本当の持続可能性とは何かを考えた末にたどり着いたのが自然農法でした。言い換えるならば、自然農法とは、自給自足型農業とも言えるのではないでしょうか。それは、自然に逆らう従来型の農業から、自然を見方にする農業への転換です。経済至上主義に翻弄され狂い始めた農業のあり方から見直す時期に差し掛かっているのかもしれません。


地球温暖化の大きな要因の一つに農業も該当することをご存知でしょうか。
現代農業は、
 過去10年間で、日本の国土面積の2倍の森林を消失させた。
 過去10年間で、350億トンの二酸化炭素を排出した。
 過去10年間で、10億トンのリン鉱石を掘削した。
 過去10年間で、世界中の河川と海を農薬肥化合物で汚濁した。
 過去10年間で、14河川で水を巡る国家間紛争を勃発させた。
 過去10年間で、地下水の汚染と枯渇地域を急拡大させた。
 過去10年間で、1日100種類の生物を絶滅するに至った。
 過去10年間で、低酸素の死の海域を200万平方km拡げた。
 過去10年間で、生態系破壊の35%以上を担った。
 過去10年間で、農地から100億トンの土壌を奪った。
 過去10年間で、日本の国土面積に匹敵する農地を砂漠化させた。
 過去10年間で、日本の国土面積の2倍の農地を失った。

実は、現代農業は驚くほど自然環境を破壊してきています。こうした農業のあり方を変えたい。でも、私ひとりが何を訴え、実行したところで何も変わらないでしょう。それでも、たった一人でも賛同し、同じ様に自然農法に切り替えてくれる農業人がいたら、私は幸せです。